8月3日(火)高祖 常子氏による「怒鳴らない、叩かない!感情的にならない子育て」の講演会をZoom配信いたしました。
まず、しつけとは子どもが心や体に傷を負わないことが大前提とした上で、約16万人の子どものデータに基づく分析の結果を示しました。親による体罰は子どもに望ましくない影響をもたらすとし、精神的な問題の発生・反社会的な行動の増加などにつながると説明。体罰は恐怖や不安による支配に過ぎず、子どもに暴力の使用を教える一方、問題の解決方法を教えていないと指摘。親自身が体罰を受けてきたケースも多いことに触れ、私たちは今この瞬間からやめましょうと強調しました。
次に、2020年4月から施行された児童福祉法と児童虐待防止法の改正案に、親による体罰禁止が明記され、同年2月に公開された厚生労働省による「体罰等の禁止」ガイドラインに、すべての人による体罰を、暴言も含めて、どんなに軽いものでも禁止することが明記されたことを紹介。これは社会全体で子育てしていこうという意思表示であり、決して親を追い詰めるものではないとしました。日本は世界で59か国目の体罰全面禁止国となったと述べ、1か国目であるスウェーデンが40年以上かけて体罰のない国になったことを踏まえ、日本は今スタートラインに立ったと伝えました。
続いて、親自身のイライラへの対処法を説明。怒りが込み上げてから理性を取り戻すまでに時差があるため、5~6秒かけて怒りを逃すことが効果的だとしました。例えば大きく深呼吸をする、音楽をかけるなど、自分なりの方法を見つけることを勧めました。更に、実は怒りは二次感情で、本当の原因は別のところにあると指摘。怒りを感じる時は、そもそも疲れや忙しさ、不安や心配などによってストレスを抱えた状態にあり、根本的な対応を考えることが大切だとしました。
質疑応答では、泣き続ける幼児への対応、家族が威圧的な振る舞いをする場合など、多種多様な質問が相次ぎました。
講演中は、様々なワークを通じて一人ひとりが自身の子育てをふり返ることができ、非常に有意義な講演会でした。
登壇者プロフィール
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高祖 常子氏(こうそ ときこ)
子育てアドバイザー/キャリアコンサルタント
資格は保育士、幼稚園教諭2種、心理学検定1級ほか。日本カウンセリング学会、日本子ども虐待防止学会ほか。リクルートで学校・企業情報誌の編集にたずさわり、️妊娠・出産を機にフリーに。2005年に育児情報誌miku編集長に就任し14年間活躍。認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事ほか各NPOの理事を務める。「体罰等によらない子育ての推進に関する検討会」(厚生労働省2019-2020)でガイドライン策定委員ほか、国や行政の委員を歴任。子育て支援や共働き支援など子育てと働き方などを中心とした編集 ・執筆ほか、全国で講演や研修を行っている。著書は『感情的にならない子育て』『こんなときどうしたらいいの?感情的にならない子育て』(かんき出版)『男の子に厳しいしつけは必要ありません』(KADOKAWA) ほか。3児の母。
高祖 常子氏
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高祖 常子
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