1月14日(木)「国際数学オリンピック金メダリストによる 家庭でできるSTEAM教育」と題して、ジャズピアニストであり、数学研究者、STEAM教育者でもある中島 さち子氏による講演会をZoomライブ配信いたしました。
STEAM教育とは、1990年代にアメリカ国立科学財団(NSF)によって定められたScience(科学)、 Technology(技術)、 Engineering(工学)、Mathematics(数学)を統合的に学ぶSTEM教育に、さらにArts(人文科学・リベラルアーツ)が統合された教育手法です。その言葉から、理数教育にアートが入ったものととらえられることが多いですが、中島氏は「科学者のように」「エンジニアのように」「アーティストのように」学ぶことを表していて、「遊びのように学ぶ」ことだと説明しました。遊びの中には学びがあふれていて、ワクワクしながら「知る」と「創る」を行ったり来たりすることで、未来を明るく創り出せる力が身につくと強調しました。
中島氏は幼少期を振り返り、「わが家は子どもになるべく与えないことにしていた家庭」でドリルなどは小3でも家になく、学ぶことへの飢餓感があったと語り、高校生の時には1ケ月間同じ問題考え続けたことがあったことを明かしました。それは言い換えると1ケ月間失敗し続けたことと同じことではあるが、考え続けることが大事で、悩んでから知ると「なるほど!」の深さが違うので、無駄にはならないと訴えました。そして、幼児期には「子どもがワクワクしているか?」をいつも観察しながら、五感が解放できる自然の中で遊ぶことがもっとも数理感覚を磨くとしました。
MITメディアラボのシーモア・パパートの言葉「知識を理解することは一部に過ぎない。本当の理解は体験から獲得するものである」を引用し、AI(人工知能)の進歩により今ある職業が奪われると恐れる前に、深く知るためにAIで遊んでみることを推奨。安野光雅による絵本「はじめてであう すうがくの本」、さまざまな子どもでも楽しめるプログラミングアプリ「Springin’」「Google Quick Draw」「MUSIC BLOCKS」「OZOBOT」「STEAMライブラリー」など、子どもと家庭でできるSTEAM教育のきっかけとなる具体事例を紹介しました。また「KIOI KIDS ひらめきそうぞうワークショップ」「数学体験館」など、子ども自身が体験することができる場の紹介もありました。「数学的センスを磨く遊びは?」など参加者から寄せられた多くのご質問にも丁寧にお答えいただき、「これからの教育のあるべき姿、大人のかかわり方など、たくさんの示唆をいただき、素晴らしいお話でした。」「漠然とAIとどのように共存していけばいいのか、不安に思っていましたが、今日のお話を聞いて、なんだか安心しました。」など多くの感想が寄せられました。
登壇者プロフィール
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中島 さち子氏(なかじま さちこ)
ジャズピアニスト/数学研究者/STEAM教育者/メディアアーティスト/(株)steAm 代表取締役/(株)STEAM Sports Laboratory 取締役/大阪・関西万博テーマ事業プロデューサー(「いのちを高める」)/内閣府STEM Girls Ambassador
現在は主に音楽・数学・STEAM(教育)・メディアアートなどの世界で、国内外にて多彩に活動。ニューヨーク大学Tisch School of the Arts, ITP(Interactive Telecommunications Program)でアートとテクノロジーの融合領域を学ぶ。国際数学オリンピック金メダリスト(日本人女性唯一)。経済産業省「未来の教室”とEdTech”」研究会研究員。フルブライター。米日財団日米リーダーシッププログラムフェロー。主な著書に『人生を変える「数学」そして「音楽」』『音楽から聴こえる数学』(講談社)絵本『タイショウ星人のふしぎな絵』(絵:くすはらじゅんこ、文研出版)他、主なCDに中島さち子PianoTRIO ”Rejoice” “希望の花”他。
中島 さち子氏
中島さち子氏
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中島 さち子
中島さち子
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