9月3日(木)、「子どもの学習/生活習慣のつくりかた」と題して、登壇者に基礎力財団理事長/陰山ラボ代表の陰山 英男氏をお迎えし、第8回高濱ゼミを開催しました。高濱ゼミは、普段の講演会ではなかなか取り上げることが出来ない保護者の方のご相談に、高濱とゲストが1対1でお答えするという企画です。
まず隂山氏は大前提として「学力とは元気の一部である」と伝えます。脳は頭蓋骨の中にあるから見えないが、体の一部であることには変わりないので、子どもを健やかに育ててあげることが大切とします。さらに学習面に関して、「集中力を高めて勉強ができるように」という考え方ではなく「集中力を高めるために勉強がある」と考えた方が良いと語ります。そのため、難しい問題を前にボーッとしている状態は非常に危険で、ピアノであろうが、そろばんであろうが、野原を駆け回っていようが、集中をしていることこそが大切であるとしました。
また、年中長から小学校低学年の子どもの学習習慣に関する悩みに対して、高濱は、習慣は基本的には「型」なので、なかなか変えられず、むしろガミガミ言うことが習慣化してしまうことが多いと指摘します。ただ、自身も61歳でありながら、最近新しく毎日トレーニングの習慣を身につけた経験から、何歳であろうと新しい習慣を身につけることができると語りました。一つの手法として「真顔法・誕生日法」を伝えます。誕生日や学年が変わるタイミングで、学年が変わって新しくはじめる習慣を真顔で伝えると良いと言います。そこから先、その習慣を1日も許さない状態が1週間程度続くと、型にはまって習慣化された事例をたくさん知っているので、まずは試してみることをおすすめしました。
さらに小学校高学年の思春期の子どもの生活習慣に関する質問に対して、思春期以降は親は家庭の掟には厳格でそこを破ったら「ガン」と言ってもよいが、それ以外は親がどうこういうのではなく、外の師匠を見つけて言ってもらうることが大切と高濱。例えば書くことが苦手な場合であれば、外のお兄さんが書くことの楽しさなどを伝えたりしてくれること理想と述べました。隂山氏もそれに同意した上で、子どもは素晴らしく育っていると思うので、心配性にならずに、子供の良いところを認めて欲しいとしました。集中力は安心した状態から始めて生まれるので、お気楽なお母さんであることが大切であることを強調しました。
「お母さんのニコニコが大切」いう共通した結論にたどり着き、その大切さを再認識したと同時に、幼少期からの腕時計の勧めや、シャープペンシル使用の勧めなど、ゲストの隂山氏ならでは興味深い内容を伺うことができた会となりました。生活や学習の習慣は保護者のみならず、教員の方からも多くのご質問があり、関心の高いテーマで大変盛況な会となりました。
登壇者プロフィール
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陰山 英男氏(かげやま ひでお)
基礎力財団理事長/陰山ラボ代表
1958年兵庫県生まれ。兵庫県朝来町立(現朝来市立)山口小学校に勤務中、反復学習で基礎学力の向上を目指す「陰山メソッド」を確立、全国から脚光を浴びる。 尾道市教委の校長公募に応じ2003年4月より尾道市立土堂小学校校長に就任。2006年4月から立命館小学校副校長、立命館大学教育開発機構教授。安倍内閣諮問機関「教育再生会議」委員、文部科学省中央教育審議会特別委員を歴任。元大阪府教育委員会委員長。 全国各地で学力向上アドバイザーを務め、講演会は、北は北海道,南は沖縄まで、全国各地で実施をしている。
高濱 正伸(たかはま まさのぶ)
1959年熊本県人吉市生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。花まる学習会代表、NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。算数オリンピック作問委員。日本棋院理事。
1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。1995年には、小学校4年生から中学3年生を対象とした進学塾「スクールFC」を設立。チラシなし、口コミだけで、母親たちが場所探しから会員集めまでしてくれる形で広がり、当初20名だった会員数は、23年目で20000人を超す。また、同会が主催する野外体験企画であるサマースクールや雪国スクールは大変好評で、年間約10000人を引率。
各地で精力的に行っている、保護者などを対象にした講演会の参加者は年間30000人を超え、なかには“追っかけママ”もいるほどの人気ぶり。
障がい児の学習指導や青年期の引きこもりなどの相談も一貫して受け続け、現在は独立した専門のNPO法人「子育て応援隊むぎぐみ」として運営している。
公立学校向けに、10年間さまざまな形での協力をしてきて、2015年4月からは、佐賀県武雄市で官民一体型学校「武雄花まる学園」の運営にかかわり、市内の公立小学校全11校に拡大されることが決定した。
ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺ~』シリーズ、『メシが食える大人になる!よのなかルールブック』など、著書多数。関連書籍は200冊、総発行部数は約300万部。
「情熱大陸」「カンブリア宮殿」「ソロモン流」など、数多くのメディアに紹介されて大反響。週刊ダイヤモンドの連載を始め、朝日新聞土曜版「be」や雑誌「AERA with Kids」などに多数登場している。
ニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカー、NHKラジオ第一「らじるラボ」の【どうしたの?~木曜相談室~】コーナーで第2木曜日の相談員を務める。
陰山 英男氏
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陰山 英男
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高濱 正伸
高濱正伸
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