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内田 伸子氏

「2021年度文化功労者受賞の子ども発達学教授に聞く 幼少期に育む未来を拓く力」

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3月8日(火)に2021年度「文化功労者」に顕彰された、IPU・環太平洋大学教授,お茶の水女子大学名誉教授である内田 伸子氏をお招きして「AIに負けない子育て〜ことばは子どもの未来を拓く〜」と題した講演会をZoomライブ配信いたしました。
はじめに内田氏は、想像力は生きる力(レジリエンス)に繋がるということに触れられました。想像力がどのように育まれ発達するのか、乳幼児から児童期における脳の認知発達の解説とともに説明してくださいました。では、想像力を育むために何が大切なのか。それは、五感を使った遊びを通した経験である。経験が豊かなほど想像の世界は豊かになるので、「想像は創造の泉である」と内田氏はお話されました。また、幼児期から児童期にかけては相手の話を聴く力、すなわち対話できる力を育てることが大切とのこと。絵本の読み聞かせや親子との対話を通じて相手への思いやりが育まれます。hear(聞く)ではなくlisten(聴く)こと。私たち大人も日々子どもの言葉や心のつぶやきに耳を傾け、子ども自身が自分で考えて説明する力を育てることが、子どもの想像力を育むことに繋がるのだとお話くださいました。
続いて、家庭の所得、幼稚園か保育園か、習い事の有無、英会話塾への通塾経験など、さまざまな実験データをもとに「学力格差と早期教育について」ご説明くださいました。その結果、子ども中心の自由遊びを通して子どもの言語リテラシーが上がることや、2言語を習得する上では母語の土台をしっかりと築くことの大切さが実証されました。言葉はやりとりを通して習得するので、親子の楽しい会話が母語の土台を築くことになるのだと内田氏はおっしゃっていました。
最後に、AIに負けない力を育むためには、子どもの主体性を大事にした関わり方が重要であることを、お話くださいました。しつけスタイルについては共有型、すなわち、親子が共に触れ合い、子どもと楽しい経験を共有するスタイルの方が、強制型しつけに比べ子どものリテラシーが高いことがわかりました。子どもの非認知能力(レジリエンス)を育むために保育者ができることは何か。それは、①子どもに寄り添うこと。②その子自身の進歩を認め誉めること。③「生き字引」のように余すところなく定義や解説、解答を与えないこと。④「裁判官」のように「判決」を下さないこと。⑤子ども自身が考え、判断する余地を残すこと。こうすることで自律的思考力や創造的想像力が育まれるそうです。
その後の質疑応答では、夫婦間で対話やしつけ、子どもとの関わり方など、子育てにおけるさまざまな助言をくださいました。
発達の仕組みや科学的理論に基づいた説明が非常にわかりやすく、AI に負けない力を育むために私たちができることを考える貴重な機会となりました。

登壇者プロフィール
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内田 伸子氏(うちだ のぶこ)️
IPU・環太平洋大学教授/お茶の水女子大学名誉教授
お茶の水女子大学文教育学部卒業、同大学院修了。学術博士。専門分野は、発達心理学、言語心理学、認知科学、保育学。お茶の水女子大学大学院教授、お茶の水女子大学理事・副学長を勤め、2011年同大学名誉教授に就任。2012年に筑波大学常勤監事に就任。2019年より現職。主な著書に『子どもの文章―書くこと・考えること』『異文化に暮らす子どもたち』『AIに負けない子育てーことばは子どもの未来を拓く』など他多数があげられる。️城戸奨励賞(1978)読書科学研究奨励賞(1980)読書科学賞(2000)磁気共鳴医学会優秀論文賞(2006)国際賞・功労賞(2016)文化庁長官表彰受賞(2019)文化功労者(2021)など、数多くの受賞歴をもつ。NHK「おかあさんといっしょ」の番組開発・コメンテーターや、ベネッセの子どもチャレンジの監修、しまじろうパペットの開発、創造性開発の知育玩具「エポンテ」シャチハタとの共同開発など多彩に活躍している。



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