11月26日(金)「女の子の算数力の伸ばし方」と題し、花まる学習会 代表高濱 正伸の講演をZoom配信しました。
一般的に、小学校高学年以上になると算数が「苦手」「嫌い」と思い込み、逃げてしまう女の子が増える傾向にあるという高濱。人工知能の台頭など、科学の進化により論理的な思考がますます求められていく社会の中で、算数や数学が得意になれば大きな強みになるとし、そのために親が心掛けることは何かをテーマに語りました。
前提として、算数に限らず、親は子どもに「苦手」「嫌い」と言わせる環境を作ってはダメだと語った高濱。「あなたは算数が苦手だね」という親の言葉は、子どもの可能性をシャットダウンすることになるため、中学生までは「ゆっくりでも、あなたはやれば必ずできる」と繰り返し親が伝えることが大切だと言います。
その上で、女の子が算数に挫折してしまうパターンとして「計算問題は得意だが、文章題は面倒でやりたがらない」「空間認識が苦手」「先生が合わないと科目も嫌いになる」などを挙げた高濱。なかでも計算問題については、速く解けることだけを重視すると、じっくり思考することが求められる文章題や図形問題に苦手意識を持つことになりやすいと呼びかけました。
高濱は、女の子の算数力を伸ばすためには、幼児期であれば、外遊びや積み木など子ども自身が創意工夫できる経験を積むことや、おやつなどの数え上げの習慣を日常に楽しく組み込むことで、算数に必要な論理的に考える力や、立体を想像して組み立てる力が育まれていくと言います。
さらに、「算数の必要性を説明する」「復習ノートをつける」「パズルや囲碁、アルゴで図形センスを伸ばす」など、子どもの算数力を伸ばすためのポイントを10以上解説。効果的な復習ノートの取り方や、「どういう大人になりたいか」という将来像を示して算数に興味を持たせる方法を分かりやすく説明しました。
一方、女の子で算数が得意になり理系に進んだ実例も紹介。彼女らに共通することは、「間違っても逃げずに地道に復習をする」「やるべきことをちゃんとやる」これらを継続できているところだと語りました。
当日は、長年の豊富な経験をもとに「図形が苦手で、やりたがらない」「抽象度の高い問題が苦手」「男女のアプローチの違いは」といった参加者からの質問にも回答。親が目先の問題の出来にとらわれず、大きな視点で子どもの力を伸ばしていくことが大切だと実感できる、有意義な時間となりました。
登壇者プロフィール
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高濱 正伸(たかはま まさのぶ)
1959年熊本県人吉市生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。花まる学習会代表、NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。算数オリンピック作問委員。日本棋院理事。
1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。1995年には、小学校4年生から中学3年生を対象とした進学塾「スクールFC」を設立。チラシなし、口コミだけで、母親たちが場所探しから会員集めまでしてくれる形で広がり、当初20名だった会員数は、23年目で20000人を超す。また、同会が主催する野外体験企画であるサマースクールや雪国スクールは大変好評で、年間約10000人を引率。
各地で精力的に行っている、保護者などを対象にした講演会の参加者は年間30000人を超え、なかには“追っかけママ”もいるほどの人気ぶり。
障がい児の学習指導や青年期の引きこもりなどの相談も一貫して受け続け、現在は独立した専門のNPO法人「子育て応援隊むぎぐみ」として運営している。
公立学校向けに、10年間さまざまな形での協力をしてきて、2015年4月からは、佐賀県武雄市で官民一体型学校「武雄花まる学園」の運営にかかわり、市内の公立小学校全11校に拡大されることが決定した。
ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺ~』シリーズ、『メシが食える大人になる!よのなかルールブック』など、著書多数。関連書籍は200冊、総発行部数は約300万部。
「情熱大陸」「カンブリア宮殿」「ソロモン流」など、数多くのメディアに紹介されて大反響。週刊ダイヤモンドの連載を始め、朝日新聞土曜版「be」や雑誌「AERA with Kids」などに多数登場している。
ニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカー、NHKラジオ第一「らじるラボ」の【どうしたの?~木曜相談室~】コーナーで第2木曜日の相談員を務める。
高濱 正伸
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