12月16日(木)花まる学習会 代表 髙濱 正伸による「【シリーズ】社会でメシが食える実力を伸ばす(7)男の子の国語力の伸ばしかた」と題した講演をZoom配信しました。
母親から「国語だけは心配」と言われていたけれど、大学受験では国語が圧倒的な得点源となっていた、まさに、「男子あと伸び組」である髙濱。自身の幼少期の気持ちを交えながら、男の子の国語への取り組み方について語りました。
まず、母親の愛溢れるがゆえにやってしまいがちな、子どもの成長の芽をつぶす「母の目」について言及。「ほかの子との比較」「本人の意思を無視した読書や国語の勉強の強制」「国語が苦手という決め付け」などが、子どもに「自分は国語ができない」という心の壁をつくり、伸びる芽をつぶしてしまうと語りました。ゴールは、大学受験で得点を取ることとしつつ、大人になった時にも言葉の力があることを目指してほしいと、国語力の重要性を強調しました。
寄せられた多くの質問には、母親の「子どもにやらせたい感」が表れていると危惧する高濱。パーフェクトを願ってしまう母親の気持ちが子どもをつぶしかねないと訴えました。例えば、テストで95点を取ったことを喜ばず、「なんであと5点取れなかったの?」と言ってしまったり、自分から本を読もうとしないことを悩んだり。そのような向き合い方よりも、あるがままのわが子を「うちの子最高だな」 と受けとめてほしいとしました。
次にトップ校へ進学した教え子について紹介。小1でサマースクール参加した時のこと、ダンゴムシに集中すると周りの声が聞こえなくなるようなその子は、「落ち葉は踏まれてやがて栄養ある土になる」と説明した高濱に、「ふようどですね」と即答。高濱自身、彼の言語力に驚いたと同時に、低学年男子の場合は「書けないこと」や「読めないこと」に悲観せずに、口頭で言える知識を蓄積することの大切さを伝えました。男子は「へぇー、すごいこと知っているね!」という反応に弱いので、「音声言語」をたくさん溜めることが、その後の伸びの鍵となるとしました。
中学受験を見据えた質問に対しては、高学年になると脳の発達に伴ってメタ認知ができるようになり、自ら「読み落としのミスに注意しよう!」と見直しができるようになる説明しました。
また、精読力(細かいところまでよく注意して読む力)を伸ばすために家庭でできることとして、「どこまで読むかわからないから、よく聞いていてね」と告げて読み聞かせを始め、途中でやめて子どもに質問をする方法を紹介。「静聴」を鍛えることにより「精読」の力がつくと語りました。
読書については、子どもが読書した本について「どんなお話?」と尋ねて「〇〇が〇〇したお話」と一文で答えさせると要約する力を養うことができるとします。さらに、自分が感動した本を、相手が読みたくなるように説明する「ビブリオバトル」を親子でやってみることを推奨しました。
最後に、「一度ハードルをぐんと下げて、楽しいと感じるところからやり直すことも大切」と高濱。「子どもに無理やりやらせていないか?キラキラした目をして何かに取り組んでいるのか?」と子どもを今一度見つめ直してみたくなる講演会でした。
登壇者プロフィール
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高濱 正伸(たかはま まさのぶ)
1959年熊本県人吉市生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。花まる学習会代表、NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。算数オリンピック作問委員。日本棋院理事。
1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。1995年には、小学校4年生から中学3年生を対象とした進学塾「スクールFC」を設立。チラシなし、口コミだけで、母親たちが場所探しから会員集めまでしてくれる形で広がり、当初20名だった会員数は、23年目で20000人を超す。また、同会が主催する野外体験企画であるサマースクールや雪国スクールは大変好評で、年間約10000人を引率。
各地で精力的に行っている、保護者などを対象にした講演会の参加者は年間30000人を超え、なかには“追っかけママ”もいるほどの人気ぶり。
障がい児の学習指導や青年期の引きこもりなどの相談も一貫して受け続け、現在は独立した専門のNPO法人「子育て応援隊むぎぐみ」として運営している。
公立学校向けに、10年間さまざまな形での協力をしてきて、2015年4月からは、佐賀県武雄市で官民一体型学校「武雄花まる学園」の運営にかかわり、市内の公立小学校全11校に拡大されることが決定した。
ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺ~』シリーズ、『メシが食える大人になる!よのなかルールブック』など、著書多数。関連書籍は200冊、総発行部数は約300万部。
「情熱大陸」「カンブリア宮殿」「ソロモン流」など、数多くのメディアに紹介されて大反響。週刊ダイヤモンドの連載を始め、朝日新聞土曜版「be」や雑誌「AERA with Kids」などに多数登場している。
ニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカー、NHKラジオ第一「らじるラボ」の【どうしたの?~木曜相談室~】コーナーで第2木曜日の相談員を務める。
高濱 正伸
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