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工藤 勇一氏 × 高濱 正伸

「これからの時代を生き抜く子どもの『自律』の力を育むために親ができること〜子育ての当たり前を考え直す目的思考〜」

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 6月18日(金)、「これからの時代を生き抜く子どもの『自律』の力を育むために親ができること〜子育ての当たり前を考え直す目的思考〜」と題し、工藤勇一氏と高濱正伸氏の対談をZoom配信しました。
 麹町中学校の校長として在任中、宿題や定期テスト、担任制、服装や頭髪の指導など、それまで学校教育で「当たり前」とされてきたことを廃止し「型破りな校長」として注目を浴びた工藤氏。叱ったり否定されると、感情や行動をコントロールする機能が働かなくなるという脳の性質を説明し、自律した子どもを育てる第一条件は、子どもの脳をストレス状態にしないことだと述べました。
 子どもの心的安全性を確保するためには、何より子ども自身に自己決定させることが重要だという工藤氏。麹町中学校では3つの言葉「どうしたの?」「君はどうしたいの?」「何をサポートしてほしいの?」を職員室中に貼り、あらゆる機会に投げかけたといいます。子どもに手をかけすぎず、一つひとつ自己決定させることで自己肯定感とストレス耐性が高まるため「心配な時こそ“子どもの自律が最終目標である”を最上位に置き、どういう言葉かけがいいか考えると子育てがラクになる」と提案しました。高濱も「やらされているという意識があれば、どの環境に行っても辛くなる。この3つの言葉を壁に貼ってほしいぐらい」と深く納得しました。
 また、工藤氏は、良いことも悪いことも、繰り返すことで習慣化するという脳の性質を説明。プロ野球選手が自分の投球フォームを撮影して改善していく例を挙げ、「一見悪い行動も、これまでの習慣になっているだけで反省しなくていい。必要なのは過去の分析。俯瞰的に自分を見つめて、良い方向に上書きする自分なりの仕組みを見つけて」と語りました。
 さらに、よくある悩みとして「好きなことが見つからない」というものを挙げ、「好きなことは見つけなくてもいい。その代わり、やらないことを決めてほしい。人生は何をやるかやらないか。自分にとって優先すべきことを決めることが大事」と述べました。
 現場で培われた経験や事例を踏まえ、親が子どもにどのような向き合い方や言葉かけをしたらよいか具体例が散りばめられた工藤氏の話に、高濱も「ノウハウに偏りすぎる人が多いが、本質的かつ具体的な話を聞けた。子育てだけではなく、パートナーとの関係性などあらゆる場面で活かせるのでは」と絶賛していました。子育ての「当たり前」を見つめ直し、明日からの子どもとの暮らしが前向きになるヒントが詰まった時間となりました。


登壇者プロフィール
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工藤 勇一氏(くどう ゆういち)
学校法人堀井学園 横浜創英中学・高等学校 校長
東京理科大学理学部応用数学科卒業後、公立学校教員、東京都教育委員会、新宿区教育委員会教育指導課長、千代田区立麹町中学校校長を歴任。
2020年4月から現職 麹町中学校在職中、学校運営に全教職員、生徒・保護者を当事者として巻き込みながら、形骸化した教育活動をスクラップし、再構築した。宿題や定期考査の全廃、固定担任制の廃止、服装頭髪指導の廃止などを行う。
内閣官房 教育再生実行会議委員/経済産業省「未来の教室とEdTech」研究会委員
主な著書
『学校の「当たり前」をやめた。―生徒も教師も変わる!公立名門中学校長の改革―』(時事通信社)
『麹町中学校の型破り校長 非常識な教え』(SB新書)
『麹町中学校長が教える 子どもが生きる力をつけるために親ができること』(かんき出版)
『きみを強くする50のことば』(かんき出版)
『学校の未来はここから始まる 学校を変える、本気の教育論議』(教育開発研究所)
『脳科学が明らかにした自律する子の育て方』(SB新書)5月発売予定

高濱 正伸(たかはま まさのぶ)
1959年熊本県人吉市生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。花まる学習会代表、NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。算数オリンピック作問委員。日本棋院理事。
1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。1995年には、小学校4年生から中学3年生を対象とした進学塾「スクールFC」を設立。チラシなし、口コミだけで、母親たちが場所探しから会員集めまでしてくれる形で広がり、当初20名だった会員数は、23年目で20000人を超す。また、同会が主催する野外体験企画であるサマースクールや雪国スクールは大変好評で、年間約10000人を引率。
各地で精力的に行っている、保護者などを対象にした講演会の参加者は年間30000人を超え、なかには“追っかけママ”もいるほどの人気ぶり。
障がい児の学習指導や青年期の引きこもりなどの相談も一貫して受け続け、現在は独立した専門のNPO法人「子育て応援隊むぎぐみ」として運営している。
公立学校向けに、10年間さまざまな形での協力をしてきて、2015年4月からは、佐賀県武雄市で官民一体型学校「武雄花まる学園」の運営にかかわり、市内の公立小学校全11校に拡大されることが決定した。
ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺ~』シリーズ、『メシが食える大人になる!よのなかルールブック』など、著書多数。関連書籍は200冊、総発行部数は約300万部。
「情熱大陸」「カンブリア宮殿」「ソロモン流」など、数多くのメディアに紹介されて大反響。週刊ダイヤモンドの連載を始め、朝日新聞土曜版「be」や雑誌「AERA with Kids」などに多数登場している。
ニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカー、NHKラジオ第一「らじるラボ」の【どうしたの?~木曜相談室~】コーナーで第2木曜日の相談員を務める。




高濱 正伸
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