1月27日(水)、「未来につながる自己肯定感」と題して、花まる学習会公教育部 新井 征太郎によるZoom配信講演会を開催いたしました。
はじめに、「自己肯定感とは、そもそも何なのか?」の定義について。自己肯定感があるというのは、思い通りにいっている自分だけでなく、うまくいっていない自分も含めたありのままの自分を受け止めて、次はこうしようと前に進むことができる状態だと定義しました。次に自己肯定感を考える時のポイントを2つ挙げます。1つ目は、自己肯定感は、高めるものではなく、もともと子どもにあるものなので、大人は下げないようなアプローチを意識することが大切。もう1つは、自己肯定感と自信の違いについて、自信は「I am OK」という意味合いが強いが、自己肯定感は「I am OK」かつ「You are OK」という周りの人も受け入れている状態であるという考え方を語りました。
続けて、花まる学習会で指導をしている中で出会った親子の事例を紹介。まずは小4女子Sちゃんの事例。毎週の授業で書いている作文で、Sちゃんは家族や友達など周りの人たちについて心が温まる文章を描く子だなと思っていたと新井。お母さまにお話をうかがうと、娘に関わる人の悪口は言わないように気をつけていることのこと。第一印象「嫌だな」という人がいても、人の良いところを探すように心がけて言葉にして伝えていたと言います。またSちゃんがいつも元気よく丁寧に挨拶をするのも、やはりお母さま自身が「人に会ったら挨拶をする」「挨拶が返ってこなくても必ずする」習慣があることに起因することとしました。
生きる力満点の子どもだった高3Mちゃんの事例。お母さまに話を聞くと、幼い頃は、公園に行っても、みんなと走ったり遊びまわらずに、ずーっとアリの巣を見ている子だったそう。お母さまは他の子どもと異なる様子を心配することなく、これは楽だなと思って見守っていたそうです。ここにポイントがあったと新井。他人軸ではなく自分軸で生きることが、幸せに生きていくために非常に大事なので、子どもの頃から自分の道を自分で選んでいけるように、子どもが好きでやっていることを見守ってあげる姿勢が大人には大事だと伝えます。また、新しい場所に行きづらいMちゃんに野外体験に行ってもらうために、「Mちゃんは野外体験にいけるんだよ、行けない人もいるのに、良かったね!」という「良かったね作戦」が功を奏したエピソードを紹介しました。
その他、男子の事例で「環境のせいにしないことの大切さ」、高学年の事例で「食といのち」、子育て中の花まる学習会社員の事例で「外に出す」など、キーワードに紐づけたストーリーをもとに、子育てのヒントを臨場感たっぷりにお話しいただきました。事前にいただいた思春期、0歳児、お母さん自信の自己肯定感や子育てに関する質問にも全てお答えいただき、参加者の方からも感謝の声が多くあがる講演会となりました。
登壇者プロフィール
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新井 征太郎(あらい せいたろう)
花まる学習会 公教育部
高校教員を務めていた際 、「幼少期の体験、周囲の大人がどう接したかが、人格形成にとって何より大切だ!」と気づき、花まる学習会へ転職。幼児や小学生への授業とともに、当会の柱の一つである「野外体験」の企画・運営者を務める。特に、野外料理、テントキャンプ、スキーレッスンなどのプログラム開発に努め、真っ黒になって子ども達と活動する姿は「東京都出身の人とは思えない」と周囲から言われている。その後、「花まるの教育を通して、地域を、日本を元気にしたい!」と、日本全国の公立小中学校へ花まるメソッドを広めようと、授業、教員研修、講演会、野外体験実施のため飛び回っている。それは、長野県(長野市鬼無里、青木村、北相木村、売木村)、群馬県(上野村)、秋田県(美郷町)と、広範囲に渡っている。
新井 征太郎
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