【イベントレポート】
11月21日(月)おおたとしまさ氏 × 長澤 啓氏 × 高濱 正伸「不登校になっても大丈夫~自分で学べる子どもになるために親ができること〜」と題した講演会をZoom配信いたしました。
長澤氏は、自身が塾長を務める学習支援塾「ビーンズ」で、子どもとの接し方の知見を集約した「ビーンズメソッド」を、「雑談の方法」から「受験指導」まで悩める10代が元気になっていくノウハウをまとめたものであると説明しました。そして「ビーンズメソッド」における「自立」の定義を、「自分の力で『なんだかんだで毎日楽しく生きていける』状態を実現できていること。」だとした上で、自立に至るために必要な環境や条件を、建物の4階構造にたとえて示しました。1階部分は「絶対安心の場である家庭」。2階部分は「伴走してくれる大人」。3階部分は「青春体験」。そして4階部分が「挑戦と努力」です。時に大人は、子どもの将来を案ずるがゆえに、4階部分の「挑戦と努力」を急かしがちだとし、下の階をしっかり組まないと上の階がグラつくと強調しました。
加えて長澤氏は子どもが根源的に持つ2つの欲求「ありのままでいたい」「何らかの成功を目指して自分でリスクとコストを引き受けたい」について解説しました。この2つの欲求はそれぞれに「ありのままではいけない」「リスクとコストが怖い」というストッパーと共に生じると言います。自己肯定感の低い子どもは、欲求と同時に生まれるこれらのストッパーが強く、自己否定が多くなりがちだと説明。大人が良かれと思って子どもの自己否定に反論することで論争になり、余計に自己否定を深めることに繋がるケースもあるとしました。まずは子どもの自己否定すら否定せずその苦しみに共感し、「誰が何と言おうと、私はあなたのことをすごいと思っているよ。」というように、保護者は、子どもを主観的に承認することを推奨しました。他にもビーンズで用いる手法として、敢えて「他人事・遠い将来・放言」をキーワードに子どもたちの発言のハードルを下げ、徐々に自分自身の、近い将来について、責任のある言葉を引き出す方法などを紹介しました。おおた氏、高濱の二人は長澤氏の話に終始うなずき、高濱は「誰も言語化してこなかったことであり、なおかつ本質をついている。」と絶賛しました。
講演の最後に「『4階構造』の1階部分であるセーフティネット」について語った長澤氏は、保護者へのメッセージとして「子どもが失敗したときに泣きつける親であるという関係づくりを」と語り、親として大切なことが学べる講演会となりました。
登壇者プロフィール
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おおたとしまさ氏
教育ジャーナリスト
「こどもが“パパ〜!”っていつでも抱きついてくれる期間なんてほんの数年。いま、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔する。」と株式会社リクルートを脱サラ。独立後、数々の育児・教育誌のデスクや監修を務め、現在は、中学受験をいい経験にする方法、学校・塾の役割、男性の育児、子育て夫婦のパートナーシップ、無駄に叱らないしつけ方、などについて、執筆・講演活動を行う。『勇者たちの中学受験』『ルポ教育虐待』『いま、ここで輝く。』など著書は70冊以上。 講演は、学校や塾の保護者、教員、子育て夫婦、中高生を対象に全国および海外で実施。
長澤 啓氏(ながさわ けい)
学習支援塾ビーンズ 塾長
成績低迷による親との衝突が絶えない高校生活を経て、2浪の末に東京大学へ入学。大学1年次から不登校・無気力・勉強嫌いなどの課題を抱える中高生(悩める10代)が通う塾、「学習支援塾ビーンズ」に参画。「なんだかんだで毎日楽しく生きていける人があふれる社会をつくる」というビーンズのビジョン達成のために、「悩める10代のトリセツ」ともいうべきビーンズメソッドを開発中。同時に、「オヤゴコロサポートメソッド」という独自ノウハウをベースにした保護者サポートにも力をいれている。
高濱 正伸(たかはま まさのぶ)
1959年熊本県人吉市生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。
1993年「花まる学習会」を設立、会員数は23年目で20,000人を超す。
花まる学習会代表、NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。算数オリンピック作問委員。日本棋院理事。ニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカー。武蔵野美術大学客員教授。環太平洋大学(IPU)特任教授。「情熱大陸」などTV出演多数。
おおたとしまさ氏
おおたとしまさ
おおた としまさ
長澤 啓氏
長澤 啓
長澤啓
長澤 啓
高濱 正伸
高濱正伸
高濱 正伸