7月7日(木)、2019年に「教育界のノーベル賞」ともいわれるグローバルティーチャー賞トップ10に、日本人小学校教諭で初選出された立命館小学校教諭の正頭 英和氏と、鎌倉学園中学・高等学校在職中、実践的な英語教育に取り組み、現在、いもいも森のスコーレを運営する飯塚 直輝氏の対談をZoom配信いたしました。
「世界トップティーチャーに教わる 子どもの未来が変わる英語の学び方」と題した本対談。まず、子どもに英語を好きになってもらう方法について、正頭氏は「好きに理由はないが、嫌いなものには明確な理由がある。親が強制することで嫌いになる原因を作らないことが大事。」と述べました。飯塚氏も「子どもは、大人の意図に敏感なので『好きにさせる』のは難しい。日常の中で、何が子どもの興味に引っかかるのかを観察して、切り口を見つけて。」とし、子ども自身のモチベーションを高める工夫が大切だと語りました。
また、新しい英語の学び方について、授業でマインクラフトなどのゲームを活用する正頭氏は「昔の宿題は読む(reading)と書く(writing)がメインだったが、本来、英語学習とテクノロジーは相性がいい。」と絵本の多読や発音チェックができるアプリを紹介。一方、飯塚氏は「英語も言語の一つ。誰に対して何を伝えたいのかを意識することが大事。『オリンピックの外国人選手に手紙を書こう』という授業では、生徒が『鎌倉のおすすめグルメ』をまとめ、選手に送ったことも。」と、リアリティを持って英語に接することの大切さを伝えました。
さらに、英語に苦手意識がある中高生へのアプローチとして、飯塚氏は「同じ『単語嫌い』でも、一つ一つの単語を覚えるのが苦手なだけで、語源を調べて覚えたり、文の中に位置付けて覚えるのは得意ということもある。苦手と感じる原因を探って、アプローチを変えていくと良い。」と述べると、正頭氏も「単語以外にも、文法が嫌いなのか、リーディングが嫌いなのかというように『苦手』な部分が分かると解決方法が見えてくる。」と賛同しました。
このほか、「英語に日常的に接する機会を増やすには」や「フォニックス学習の有効性」、「英語を話すには自己肯定感が必要か」といった保護者が突き当りやすいお悩みについて、両氏が経験を踏まえて回答。両氏とも「保護者自身が苦しくなるやり方はよくない。さまざまな経験をさせる中で子どもの好きなことを見つけて、子ども自身が英語で伝えたいと感じることが大切。」と述べるなど、目の前の学習成果にとらわれない、長期的なスパンでの取り組みが必要だと感じられる、有意義な時間となりました。