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末永 幸歩氏 × 高濱 正伸 × 井岡 由実

「アート × 教育で学ぶ『自分の人生を生きる子ども』の育て方」

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9月15日(水)、「アート×教育で学ぶ『自分の人生を生きる子ども』の育て方」と題し、「13歳からのアート思考」の著書・末永幸歩氏×花まる学習会「アートのとびら Atelier for KIDS」主宰の井岡由実氏×高濱正伸の対談をZoom配信しました。
 子どもたちの自由な表現を引き出す、ユニークな創造の場づくりに取り組んできた末永氏と井岡氏。当日は①アートとは何か(美術の基礎は必要か)②子どもとアートをどう見守るか③アート授業のゴールとは、をテーマにお話を伺いました。
冒頭、「アート思考」について末永氏は「自分だけのものの見方で世界を見つめ、自分だけの答えを創り、それによって新たな問いを生み出すこと」であると紹介。一方、井岡氏はワークショップの中で「どうしたらいいですか?」と指示を待つ子どもが多い現状にふれ、正しさを求めず、子どもたちが自由に創作できる場を保証することが何より大切だと述べました。
その上で「他の子が上手に描けているのを見ると気になってしまう」「親がアートが苦手で声の掛け方が分からない」といった質問に対し、末永氏は「アートの基礎として必要なことは、今ある前提を疑うことで、具体物を写実的に描くことではない。3歳以下の子どもは、描き心地が楽しいなど、感覚的に画材を動かしていることもあるので『これは何を描いたの?』と聞きすぎるのはよくない」と説明。井岡氏も「身体を動かして描く経験をたくさん積み重ねてあげると、イメージしたものが出せるようになってくる。『これは何?』と聞くのではなく『腕を大きく使って描いたんだね』『グングン線が伸びてるね』といった声の掛け方をしている」と伝えました。
高濱も「お二人のような新しい考えで日本のアート教育を変えていってほしい。子どもの『描きたい』という感情を止めないことが大切で、大人は他の子どもと比較せずに、楽しめているかだけを気にしてあげてほしい」と語りました。
また、子どもとアートの見守り方について、「アートとは自分自身との対話からできるもので、作り手そのもの。大人は子どもを充分に観察し、その過程を丸ごと認めてあげてほしい。それによって、子ども自身の自己肯定感や他者の作品を認める心が育まれていく」と語り合った末永氏と井岡氏。
そのほか、ぬり絵に対する考え方や、子どもがおもちゃにペイントしてしまったときの対応、美術の授業の評価基準などの参加者からの質問にも回答。大人はアートというと何か高尚なものや作品の完成度を求めがちですが、既成概念を一度外して子どもと作品に向き合いたいと思える、大人自身の「アート思考」も育むきっかけになるような、貴重な時間となりました。


登壇者プロフィール
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末永 幸歩氏(すえなが ゆきほ)
美術教師/東京学芸大学個人研究員/アーティスト
東京都出身。武蔵野美術大学造形学部卒業、東京学芸大学大学院教育学研究科(美術教育)修了。「絵を描く」「ものをつくる」「美術史の知識を得る」といった知識・技術偏重型の美術教育に問題意識を持ち、アートを通して「ものの見方を広げる」ことに力点を置いたユニークな授業を、東京学芸大学附属国際中等教育学校や都内公立中学校で展開。生徒たちからは「美術がこんなに楽しかったなんて!」「物事を考えるための基本がわかる授業」と大きな反響を得ている。
自らもアーティスト活動を行うとともに、内発的な興味・好奇心・疑問から創造的な活動を育む子ども向けのアートワークショップや、出張授業・研修・講演など、大人に向けたアートの授業も行っている。初の著書『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』(ダイヤモンド社)が16万部超のベストセラーに。
Udemyでの体験型動画講座「大人こそ受けたいアート思考の授業ー瀬戸内海に浮かぶアートの島・直島で3つの力を磨くー」を2021年5月に開講。

井岡 由実(Rin)(いおか ゆみ)
1978年奈良県生まれ。2001年児童精神科医の稲垣 孝氏とともに、心を病んだ青年たちへの専門的な対応に専心したのち、2004年花まる学習会取締役に就任。2005年朝日小学生新聞で「国語のきほん」連載担当。その後『国語なぞぺ~』他を執筆。2007年に芸術メセナとしてGallery OkarinaBを立ち上げ、自ら国内外での創作・音楽活動や展示を続けながら、「芸術を通した幼児期の感性育成」をテーマに、「ARTのとびら」を主宰。教育 × ARTの交わるところを世の中に発信し続けている。
花まる学習会年中・年長向け教材開発に携わり、冊子「1年生になる前に」では、幼児期に伸ばしたい能力や感性の教育について論じる。
2009年より子どもたちのための創作ワークショップクラス「Atelier for KIDS」、2017年よりお母さんのための創作と対話のクラス「WORKSHOP for MOM!」を開催。2018年、ART × 教育の活動の軌跡を明らかにした『こころと頭を同時に伸ばすAI時代の子育て』を実務教育出版より出版。
2019年より高知県佐川町立小学校と保育所にて「子どもたちがより主体的に自分の人生を生きるための、非認知能力を育てる」ことを目的に、Atelier for KIDsの授業を定期的に開催。武蔵野美術大学クリエイティブイノベーション学科にて講義も行う。

高濱 正伸(たかはま まさのぶ)
1959年熊本県人吉市生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学へ入学。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。花まる学習会代表、NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長。算数オリンピック作問委員。日本棋院理事。
1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。1995年には、小学校4年生から中学3年生を対象とした進学塾「スクールFC」を設立。チラシなし、口コミだけで、母親たちが場所探しから会員集めまでしてくれる形で広がり、当初20名だった会員数は、23年目で20000人を超す。また、同会が主催する野外体験企画であるサマースクールや雪国スクールは大変好評で、年間約10000人を引率。
各地で精力的に行っている、保護者などを対象にした講演会の参加者は年間30000人を超え、なかには“追っかけママ”もいるほどの人気ぶり。
障がい児の学習指導や青年期の引きこもりなどの相談も一貫して受け続け、現在は独立した専門のNPO法人「子育て応援隊むぎぐみ」として運営している。
公立学校向けに、10年間さまざまな形での協力をしてきて、2015年4月からは、佐賀県武雄市で官民一体型学校「武雄花まる学園」の運営にかかわり、市内の公立小学校全11校に拡大されることが決定した。
ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺ~』シリーズ、『メシが食える大人になる!よのなかルールブック』など、著書多数。関連書籍は200冊、総発行部数は約300万部。
「情熱大陸」「カンブリア宮殿」「ソロモン流」など、数多くのメディアに紹介されて大反響。週刊ダイヤモンドの連載を始め、朝日新聞土曜版「be」や雑誌「AERA with Kids」などに多数登場している。
ニュース共有サービス「NewsPicks」のプロピッカー、NHKラジオ第一「らじるラボ」の【どうしたの?~木曜相談室~】コーナーで第2木曜日の相談員を務める。


高濱 正伸
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井岡 由実
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